雨ニモマケズ/宮沢賢治
雨ニモマケズ/宮沢賢治
雨ニモマケズ
風ニモマケズ
雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ
丈夫ナカラダヲモチ
慾ハナク
決シテ瞋ラズ
イツモシヅカニワラッテヰル
一日ニ玄米四合ト
味噌ト少シノ野菜ヲタベ
アラユルコトヲ
ジブンヲカンジョウニ入レズニ
ヨクミキキシワカリ
ソシテワスレズ
小サナ萓ブキノ小屋ニヰテ
東ニ病気ノコドモアレバ
行ッテ看病シテヤリ
西ニツカレタ母アレバ
行ッテソノ稲ノ朿ヲ負ヒ
南ニ死ニサウナ人アレバ
行ッテコハガラナクテモイヽトイヒ
北ニケンクヮヤソショウガアレバ
ツマラナイカラヤメロトイヒ
ヒドリノトキハナミダヲナガシ
サムサノナツハオロオロアルキ
ミンナニデクノボートヨバレ
ホメラレモセズ
クニモサレズ
サウイフモノニ
ワタシハナリタイ
宮沢賢治の代表作である「雨ニモマケズ」は、日本の近代詩の中でも特に有名な作品の一つです。この詩は、宮沢賢治が晩年に書かれた作品であり、彼の人生観や哲学が色濃く反映されています。
詩の冒頭に登場する「雨ニモマケズ」のフレーズは、「雨にも負けず、風にも負けず」という意味であり、その後に続く「馬鹿」を語尾に持つ言葉で、日本語の独特な表現形式である「五七五」のリズムに沿って詠まれます。この言葉は、逆境や困難にもめげずに生きる強さや生命力を象徴しています。
詩の内容は、自然界の中での生き物たちの姿を通して、人間の生き方や生命の尊さを表現しています。作者は、雨や風、山や川といった自然の要素に対して、「負けずに生きる」という強さを讃えつつ、同時にそれぞれの生命の尊さや美しさを称賛します。また、詩の中で作者は、「馬鹿」という言葉を用いて自然界や生き物たちに敬意を払いながら、人間の生き方を謙虚な姿勢で表現します。
「雨ニモマケズ」は、作者自身の生き方や人生観が詩の中に反映されていると言われています。宮沢賢治は、自然と共生し、自然の法則に従って生きることの大切さを強く信じており、その思想がこの詩にも表れています。彼は、自然界の中で生きる生命の尊さや美しさを讃えながら、人間も自然と調和し、自己を貫く強さを持つべきだと説いています。
この詩は、日本の近代詩の名作としてだけでなく、世界中の多くの人々に愛され、共感されています。その普遍的なメッセージは、逆境や苦難に直面しても決して負けずに生きる姿勢や、自然と調和し、謙虚な心を持つことの大切さを教えてくれます。