私と小鳥と鈴と/金子みすゞ
私と小鳥と鈴と/金子みすゞ
私が両手をひろげても、
お空はちっとも飛べないが
飛べる小鳥は私のやうに、
地面を速くは走れない。
私がからだをゆすっても、
きれいな音は出ないけど、
あの鳴る鈴は私のやうに
たくさんな唄は知らないよ。
鈴と、小鳥と、それから私、
みんなちがって、みんないい。
金子みすゞの詩「私と小鳥と鈴と」は、短いながらも深い哲学を持った作品です。詩の中で、詩人は自分と小鳥、そして鈴との比較を通じて、それぞれの存在の独自性と美しさを称賛しています。
詩の冒頭で、「私が両手をひろげても、お空はちっとも飛べないが、飛べる小鳥は私のやうに、地面を速くは走れない」と述べられています。ここでは、詩人は自分が空を飛ぶことはできないが、小鳥は地上を走ることはできないという違いを認めつつ、それぞれの存在に対して肯定的な視点を持っています。
次に、「私がからだをゆすっても、きれいな音は出ないけど、あの鳴る鈴は私のやうにたくさんな唄は知らないよ」と述べられています。この部分では、詩人が自分が美しい音を出せないことを認めながらも、鳴る鈴が自分のように多くの歌を知らないという違いを指摘しています。
最後に、「鈴と、小鳥と、それから私、みんなちがって、みんないい」と締めくくられています。この一節からは、詩人が自分、小鳥、そして鈴という異なる存在を肯定し、それぞれの独自性を尊重する姿勢を示しています。人間と自然、または人間と物との関係において、異なる存在同士が互いを認め合い、共存することの大切さを表現しています。
この詩は、異なる存在同士が互いに認め合い、共存することの美しさを讃えると同時に、それぞれの存在の独自性と尊厳を称賛するメッセージを伝えています。身近な自然や日常の中に潜む美しさや調和を見出すことを教えてくれる金子みすゞの詩の一つです。